Report レポート
温室効果ガスと食品ロスの削減に貢献できる環境配慮型フィルム「ライスフィルム」。そのフィルムをいち早く商品パッケージとして活用しているテーブルマーク株式会社さまに、ライスフィルムをパッケージに使用するに至った経緯やメリットなどをお尋ねするとともに、ライスフィルムが本当に地球の環境保全に役立っているのか?を探ってみました!
ライスフィルムを商品パッケージに採用されている
テーブルマーク株式会社 戦略本部 調達部 包材チーム チームリーダー 加藤 吉永様
同 主任 仲谷 淳様 にお話をお伺いしました。
あわいひかり:テーブルマークさまでは積極的にライスフィルムを使った商品パッケージを採用されているとお聞きしたのですが、そもそもパッケージにライスフィルムを採用しようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?
加藤さん:ライスフィルムを知ったきっかけとしては、2019年頃に新潟県のバイオマスレジン南魚沼さまが破砕米などの非食用米を使ったバイオマスプラスチックを製造しているという記事を読んだことでした。弊社のパックごはんを作るにあたって、精米の工程でたくさんの破砕米が発生していました。その破砕米を、プラスチックと混ぜることでパックごはんのパッケージやトレーとして再利用できるのなら本当に素晴らしいことだと思いました。
あわいひかり:確かに、自社の破砕米が商品のパッケージに再利用されるのなら、素晴らしい取り組みですね!
加藤さん:弊社で使っているライスフィルムはすべて弊社の商品を作る際に発生した破砕米をバイオマスレジン南魚沼さまに持ち込んで製造していただいていますが、それでもすべての破砕米がライスレジンとして再利用されているわけではありません。
あわいひかり:すべての破砕米を再利用するには、やはり問題もあるのですね。
加藤さん:はい。やはり、通常のプラスチックを作るよりも製造コストが高くなってしまいますし、プラスチックに混ぜる破砕米の量が増えるほど、コストもアップしてしまいます。弊社では、現在4商品にライスフィルムを使用したパッケージを採用していますが、今後はさらにその数を増やしていってコストを下げていく努力をしたいと考えています。
あわいひかり:やはり、ライスフィルムは、通常のフィルムよりもコストが上がってしまうという問題はあるのですね。
加藤さん:そうですね。でも、悪い面だけではないんですよ。大手量販店さんでは環境意識も高いことから、環境に優しいライスフィルムを使った商品に高い関心を持っていただいています。こういった取り組みは廃棄物発生量の抑制にもつながりますし、環境保全の取り組みは、弊社の企業価値を高めてくれるものだと信じています。破砕米をプラスチックに混ぜることで、石油系プラスチックの使用量削減につながっています。また、破砕米は植物由来の原料のため、大気中の二酸化炭素排出量の増減に影響を与えない 「カーボンニュートラル」が実現できると考えています。
あわいひかり:加工食品業界大手のテーブルマークさまの取り組みは、同業他社はもちろん、食品業界全体に必ず大きな影響を与えると思います。今後、どのようなパッケージや素材が登場することを期待されていますか?
仲谷さん:理想としては、弊社で発生する廃棄物が100%再利用できるパッケージが実現すれば素晴らしいことですね。そのためには技術革新も必要でしょうし、社会全体の環境に対する意識をさらに上げることが大切だと思っています。
加藤さん:環境に配慮するのはあたりまえ。そういった循環型社会を、私たちテーブルマークやグループ会社が引っ張っていけるように更なる努力を続けていこうと考えています。
そのために、まずはライスフィルムに配合される破砕米の比率を上げることから始めていきたいですね。
あわいひかり:今回は、テーブルマーク株式会社さまに取材にご協力いただき、本当にありがとうございました。
次回は、テーブルマークさまのグループ会社である株式会社魚沼ライスさまとライスフィルムの原料となるライスレジンを製造しているバイオマスレジン南魚沼さまを取材して、破砕米が発生する経緯やそれを再利用する技術について深掘りしていきますので、乞うご期待!!
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取材・文
森本 未沙(海育ちのエバンジェリスト)