Report レポート

商品を守り、地球環境をも守る! 18ミクロンのフィルムにかけた食品メーカーの想い!

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現在、わが国では年間11億トンを超える温室効果ガスを排出しています。しかし、2030年度には、2013年度と比べて温室効果ガスを46%削減。さらに2050年までに温室効果ガスを実質ゼロにし、カーボンニュートラルを実現するための具体的な取り組みが求められています。
その一環として、環境負荷低減のためプラスチックを減容化する取り組みが進んでいます。今回は、包材に利用されているフィルムの薄肉化の流れと、実際に商品包材として採用されている「アイランド食品」さまを取材し、包装用フィルムの今後の在り方についてレポートします。


そもそもパッケージフィルムの薄肉化とは?

近年、さまざまな業界で環境対応への関心が高まる中、商品パッケージにおける取り組みへの関心も高まっています。必要な耐久性はそのままに、フィルム自体の厚みを薄くすることで、少しでもプラスチックの使用量を減らし、環境に配慮しようという取り組みが「薄肉化」です。薄肉化することで、メリットがある一方、デメリットもあることから導入に踏み切れないメーカーさまもあるそうです。

フィルムを薄くするメリット

・プラスチックの使用量を減らすことができる。
・軽量化により輸送時のエネルギーを低減できる。
・ゴミが減る。

フィルムを薄くするデメリット

・袋の強度が弱くなり、破れやすくなる。
・店頭で、袋のハリがないため安っぽく見える。
・製造時に破れるなど包装をする難易度があがる。

これまで同様の強度を実現した薄肉フィルムの登場!

以前までは当たり前のように20μm・25μm・30μm…のように、ある程度規格化されたラインナップだったプラスチックフィルム。しかし、現在では20μmを18μmに変更するなど、フィルムメーカーさまの努力により、強度を保ったままプラスチック使用量を減らす取り組みが行なわれています。
また、60μmなどの分厚いフィルムは、技術開発により40μmまで薄くしても強度を維持できるフィルムも開発されているのです。

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実際に、薄肉フィルムを商品パッケージに導入されている
株式会社アイランド食品 企画開発部 田中健之さまにお話をお伺いしました。
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あわいひかり:アイランド食品さまでは、薄肉フィルムを積極的に商品パッケージに導入されていますが、そもそも薄肉フィルムをパッケージに採用しようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?

田中さん:大手フィルムメーカーさまの工場が火事になってしまい、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)の安定供給が難しくなったことが薄肉フィルムを知るきっかけでした。包材メーカーさまから、OPPの代わりとして提案いただいたのですが、最初は薄くなることによって商品が傷つかないか、安っぽくならないかという疑念はありましたね。

あわいひかり:そうなんですね。やはり、フィルムが薄くなると強度の問題は1番に考えるところですよね。

田中さん:実際に薄肉化した18μmのフィルムを見て、触らせていただきましたが想像していたより大丈夫そうだったので切り替えることを決断しました。



あわいひかり:実際に導入してみて、課題や問題点はありますか?

田中さん:包装フィルムとしての適性や耐久性など、特に問題はありませんし、使いにくくなったこともありません。従来のものと触って比較すると、少し薄くなっていると感じますが、単体で見ると特に変わりはないですね。

あわいひかり:そうですか!現在はどれくらいの商品で薄肉フィルムが導入されているのですか?

田中さん:弊社では、すべての商品のパッケージが薄肉化した18μmのフィルムに置き換わっていますよ。

あわいひかり:それはすごいですね!
18μmに置き換えてみて、なにかメリットはありましたか?

田中さん:2μm薄くなったことで、巻き取った時の直径が小さくなり、全体の巻きメートル数を増やすことができたのがよかったですね。なぜ、それがメリットかと言いますと、商品を梱包する際に、巻いてあるフィルムを梱包機にセットするわけです。同じ大きさのロールでも薄肉化したフィルムを巻いたロールの方がより多くの商品を包装できるのでロールの掛け替えの手間が減り、効率アップにつながりました。
また、重量が軽くなったことで、容器包装リサイクル費用も減りましたね。

あわいひかり:たった2μmの違いでも、大きな違いとして表れているんですね!
薄肉フィルムの次に、試してみたいパッケージ素材や方法はありますか?



田中さん:弊社の商品ラインナップに高級路線のものがありますので、高級な質感を感じられるマット系の包材や紙の材質が入った包材なども試してみたいとは考えています。

あわいひかり:商品によって、パッケージの質も変えていかないといけないということですね。
アイランド食品さまが考える、地球環境にとって理想とする商品パッケージとはどのようなものでしょうか?

田中さん:現在、弊社の商品はトレーに載せ、フィルムで包装しているのですが、最終的にはトレーをなくせるようにしたいと考えています。その途中段階として、紙トレーへの変更も考えてはいますが、将来的には完全にトレーがなくなるのが良いと考えています。

あわいひかり:最後になりますが、アイランド食品さまでは、環境保全のためにどのような目標を掲げ、どのような取り組みを行なっていますか?

田中さん:これと言った目標を掲げてやっているわけではありませんが、賞味期限の見直しは行なっています。以前は30日の賞味期限だったものをパッケージの変更などを行なったことで現在では60日にまで伸びています。これによって、食品ロスの削減につながっているのではないでしょうか。
また、これからさらに薄く強度の高いフィルムが誕生すれば、積極的に導入して地球環境に優しいパッケージを採用し続けたいと考えています。



あわいひかり:今回は、株式会社アイランド食品さまにご協力いただき、パッケージフィルムの薄肉化の現状について知ることができました。ご協力ありがとうございました。

これからも「あわいひかり」では、新しい素材や技術、サービスの紹介をはじめ、タメになる情報やニュース、トピックスなど、地球にいいことを発信し続けていきますので、乞うご期待!!

  • 取材・文

    森本 未沙(海育ちのエバンジェリスト)

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