Series 連載
海辺などのプラスチックごみを回収してがんばって映え写真に昇華して成仏させた上で廃棄処分する、それが本企画「映えプラ」のコンセプト。最終的にこの企画が実行不可能になる(=プラごみの消滅)ことを目指してます。道のりは長い。しかしこれこそハチドリのひとしずく。志とクリエイティビティの融合をお楽しみください。
矢野 豊(名映えプレイヤー)
1984年1月17日生まれ。香川県出身、在住のデザイナー。おもしろいこと、イケてるデザイン、怖い話、カレー、ゴジラが好き。
映えさせて 極楽成仏 プラのごみ
というわけでスタートしました、「プラごみを回収してがんばって映え写真に昇華して成仏させた上で廃棄処分しよう」という本企画、題して「映えプラ」。
みなさんも経験したことがあるのではないでしょうか。海や川でのアウトドア、楽しいひとときを過ごす中でふと目に入るゴミ、ゴミ、ゴミ。なんというか、モヤッとしますよね。単に快不快の話ではなく、実際海洋プラスチック問題なんかは喫緊の環境課題です。
そんな課題に微力ながらも立ち向かう手段として生まれたのが本企画「映えプラ」です。
プラごみだって最初からゴミだったわけではなく、求められて世に生まれ、人の役に立った瞬間があるはず。それを役目を終えた途端にゴミだなんだと疎んじるなんて、悲しい話じゃありませんか…。だったらせめて最後はきれいに映えさせて送ってやりたい。そう、映えプラはプラごみの「おくりびと」となる企画なのです!(そうなの?)
と鼻息を荒くしても実際やってみないとわからないということで、最寄りのゴミ拾いスポット、観音寺市の有明浜にて歴史的な一歩目、第一回を実施しました。(有明浜の名誉のためにも言っておくと、決してゴミだらけの浜というわけではありませんよ)
参加したのは「あわいひかり」を支える、筆者を含めた3人の男たち。それでは行ってみましょう。
3人ばらけて黙々と集めること小一時間。集まる集まる、その量ゴミ袋ひいふうみい…5袋ぶん!(大きすぎて入らないものもあり)ゴミの種類は様々ですが、やっぱりプラスチック、それもペットボトルがかなり多いです。韓国語、中国語表記のものもちらほら…。
ではいよいよこの中から各々の審美眼にかなったゴミたちで映えプラ作品を作ります。
それではここから3人の映えプラ作品を見ていきましょう。ちなみに映え度に公平を期すため、撮影機材はそれぞれのスマホ、撮影場所はゴミ拾いをした現地というルールを設定しています。さてどんな作品ができたのか…。
タイトル「decaying seabird(朽ちた海鳥)」
おくりびとネーム : Tada
「ゴミ拾いの際、浜辺に打ち上げられ、クチバシと頭蓋骨のみ残して朽ち果てていた鳥が実際にいて、無常だなぁと思いつつも、土に還っていくその様に自然の営みを感じ、作品に残してみました」とは作者の談。なるほど、ゴミをうまく組み合わせて鳥に見立てています。彩度を落とし、強めのコントラストで仕上げた作風は死というシリアスなテーマにマッチし、見るものに緊張感を与えます。う〜ん、これはしょっぱなからハードルが爆上がりじゃないですかね?
タイトル「詰め放題 夏」
おくりびとネーム : Nitta
本記事のカメラマン渾身の作品。さすがは写真を生業としているだけあって、スマホ撮影と言えども構図、配色のバランスから隠しきれないプロの臭いが漂ってきます。作者曰く生け花をイメージしたそうで、確かに高さ奥行きなどを意識したであろう挿し方にそのエッセンスが見てとれます(ほんと?)。当然ながら右上の雲も偶然ではないですね、いやはや恐れ入ります。
タイトル「うみごみいまむかし」
おくりびとネーム : Yano
最後は筆者の作品。テーマは「うみごみいまむかし」。ゴミ界のレジェンド、空き缶。並ぶはルーキー、モバイルバッテリー。まったくジャンルの違う二人も、海という大鍋に放り込まれれば同じ「ゴミ」として括られる。悲しくも縁を感じる1枚です。こだわりポイントはルージュ&ノワールな配色と、海を感じさせるためにわざわざ波打ち際に持っていって良い波が来るまで何枚も撮ったところです。艶感があって良い感じではないですか?(自画自賛)
いかがでしたか?第1回映えプラ。やってみた感想としては意外と、というか結構楽しめました。環境にいいことして、且つ楽しめる。必要なのは自由な発想とスマホだけ。これは新たなムーブメントの予感が…。ぜひみなさんも「勝手に映えプラ」してみてください。たぶん散歩中のおじいさんが褒めてくれますよ笑
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取材・文
矢野 豊(名映えプレイヤー)