Series 連載
海辺などのプラスチックごみを回収してがんばって映え写真に昇華して成仏させた上で廃棄処分する、それが本企画「映えプラ」のコンセプト。最終的にこの企画が実行不可能になる(=プラごみの消滅)ことを目指してます。道のりは長い。しかしこれこそハチドリのひとしずく。志とクリエイティビティの融合をお楽しみください。
矢野 豊(名映えプレイヤー)
1984年1月17日生まれ。香川県出身、在住のデザイナー。おもしろいこと、イケてるデザイン、怖い話、カレー、ゴジラが好き。
五月蠅い。
と書いて「うるさい」。
五月…蠅…映え…5月の映え…5月の映えプラ!
では今月も元気にいってみましょう。
さて今回はどこにお邪魔したかといいますと…
遠くにうっすらと見える島影は…
あ〜伊吹島ですね。いりこが名産で全国区のブランドを誇ります。伊吹島が見える浜辺はいくつかありますが、このロケーションはもしや…そう有明浜です。
またか〜い!というツッコミが聞こえてきました。いやはや毎回ロケーションを変えるのも大変で、ついつい最寄りかつソウルプレイスの有明浜に吸い寄せられてしまいます。ほんといいところですよ。散歩にもってこいです。
それはいいとして、第2映え以来の悪天候です。でもこの日は浜に着く前から降ってたので準備は万端。上の写真にも傘が写ってますね、すばらしい。
とは言え雨の中ごみ拾いなんかしてたら怪しさ100%なので今回は特別ルールを設定します。その名も「10count」。見つけたごみの10コ目までで作品を作るという縛りプレイ。たくさんごみを集めて海浜美化に貢献したい気持ちをグッと堪えて、時短ルールでいかせてもらいます。それでは早速スタート!
雨の日の浜なんて誰もいない…と思いきや奥の方に小さ〜く人が見えますね。もしや同志でしょうか?
【第1ごみ】出ました、海ごみ界のスーパーマジョリティ、ペットボトル。残りは9コ。果たして映えるごみと出会えるのか。ドキドキもんです。
【第2ごみ】おっこれは…花火!まあ初夏なので不思議ではないかもですが、まだちと早いのでは?それにしても遊んだ後はちゃんと片付けんかいバカチンが!
【第3ごみ】これまた花火カス。同一犯ですかね、ブンブン!
【第4ごみ】3度目の花火カス。は〜。ところでみなさんは花火で遊ばれますか?子どもの頃は実家の庭(のようなところ)で親と一緒に遊んでましたが、大人になるとなかなか機会がないもんです。都会なんかだとそもそも花火で遊べる場所が少ないのでは?少子化もあって、花火業界も大変そうです。
【第5ごみ】お菓子の袋。最近のものっぽくて、流れ着いたと言うより現地で消費して投棄されたような感じが。花火カスと合わせて、何かストーリーが見えてきましたよ…。
【第6ごみ】お菓子の袋2。これも新しそう。赤いのが好きなようです。
【第7ごみ】ペットボトル2。ペットのお茶は数あれど、やっぱり「お〜いお茶」を買ってしまいます。
【第8ごみ】何かよくわからない軟包材。よく見ると「パーティプレート」という文字が。調べてみると板状氷商品のようです。
【第9ごみ】空き缶。ビール。500ml。これまた状態がキレイで、現地で消費→投棄案件のにおいが。先の花火カス、お菓子の袋と組み合わせることによってなにやら「ウェ〜イ!」みたいなやつが浮かび上がってきます。人間の脳ってスゴイ。さあ次でラスト、どんなごみが待っているのか。
【第10ごみ】空き缶。ビール。500ml。×3。これもう絶対「ウェ〜イ!」みたいなやつの仕業だよ!はぁ〜まったくけしからんですな。一気に見つけたので3コですが1カウントということで。
10countルールでごみを集めたことによって想像上の「ウェ〜イ!」が生まれるという、予想だにしない結果に。今回集めたのは「海ごみ」というより「海に投棄されたごみ」という感じです。時を経ている海ごみも元は「海に投棄されたごみ」なんでしょうか?明確な意思の元に捨てられているのなら悲しいことです。
さてそんな悲しみを抱えて作品に昇華しないといけないんですが、雨の中ごみを広げてゴゾゴゾしてたら怪しさ2万%なので、一旦持ち帰って改めて作品づくりをしたいと思います。
日と場所を改めまして創作タイム。
ビール缶が4本もあるので否応にも「ウェ〜イ!」感が出てしまう…という世にも稀な悩みに苛まれつつもいろいろ考えた結果がこれです。
タイトル「上〜イ!」
おくりびとネーム : Yano
ペットボトル、空き缶にいろいろ差し込むことで上方向に流れを作りました。図らずも赤と緑(背景も含めて)という補色の配色が構築され、予想に反してまとまった印象です。ビール缶を2段に積み上げ、そこに花火袋を被せることで淡麗PR案件になることを防いだのが個人的Goodポイント。「ウェ〜イ!」みたいなやつがいたかどうかは永遠にナゾですが、この作品に免じて今回は許してやろうと思います。みなさんは海で遊んだらごみは持ち帰って捨ててくださいね。では!
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取材・文
矢野 豊(名映えプレイヤー)