Report レポート
お米を原料の一部に使用したプラスチック「ライスレジン」。その原料の?お米がどのように発生し、レジンとして生まれ変わるのか?「株式会社魚沼ライス」さまにお聞きしました!
ライスレジンの原料になる非食用米をレジン製造会社に納入している
株式会社魚沼ライス社長の吉岡さまと工場長の上村さまにお話をお聞きしました。
あわいひかり:本日はお忙しいところ、私たちあわいひかりの取材をお引き受けいただいてありがとうございます。早速ですが、ライスレジンの原料となるお米がどのように発生しているのか、お聞きしてもよろしいでしょうか?
吉岡さま:こちらこそ、取材していただいてありがとうございます。ライスレジンの原料となる破砕米についてお話しする前に、まず私たち魚沼ライスについて簡単ですが、ご紹介させていただきたいと思います。魚沼ライスは、テーブルマーク株式会社のグループ企業として、主にパックご飯に使用されるお米を精米して出荷しています。その工程の中でどうしても発生してしまう破砕米を有効に活用しようということで、「バイオマスレジン南魚沼」さまに破砕米を持ち込み、ライスレジンを製造していただいています。
あわいひかり:どのような破砕米が発生しているのでしょうか?
吉岡さま:弊社では1日に65〜70トンの玄米を精米しています。その1割が米糠となり、きのこ栽培などに利用されています。精米されたお米は4種類のフィルターを通して選別されるのですが、その工程で破砕米が発生します。そのうち少量の破砕米は小さすぎて再利用ができないために廃棄されてしまうのですが、大きな破砕米はライスレジンなどに再利用されています。
あわいひかり:大きな破砕米のみが現在のところ再利用されているのですね。ライスレジンの他にも、再利用の方法はあるのでしょうか?
吉岡さま:大きな破砕米は、ライスレジンとして再利用される他に、製菓会社さまにお引き取りいただいておせんべいの原料にもなっています。
あわいひかり:おせんべいですか!?たしかに米粉などにしてお菓子に利用することは可能ですね。
ところで、破砕米が発生するまでの工程を見学させていただくことはできるのでしょうか?
上村さま:大丈夫ですよ。では、ここからは玄米が精米されて、どのような工程で商品となるお米や廃棄・再利用される破砕米になるのかを見ていただきましょう。
まず、精米の工程です。
①玄米を精米機に投入します。
②プレクリーナーで、ほこりや糸くずを除去。
③玄米石抜機で、比重が重い石を除去します。
④精米。玄米の約1割が米糠となります。
米糠はきのこ栽培に使用されています。
⑤ロータリーシフターで、破砕米や異物を除去。
4種類のフィルターで、大きさを選別して破砕米や異物を除去します。
⑥良品は完全米として商品用に出荷されます。
糠玉は再利用ができないため、廃棄されます。
大砕米は、バイオマスレジン南魚沼さまへライスレジン用として30kgの袋に入れ
て保管。その他にもおせんべいの原料などに使用されます。
小砕米は、小さすぎて利用できないため廃棄されます。1日に5kgほど発生します。
⑦無繊維物および着色米の除去
カメラによって1粒1粒検査します。
検知したガラスなどの無繊維物や着色米はエアーにより除去します。
着色米は、1週間に1トンほど発生しますが、糊やおせんべいの原料として
再利用されます。
⑧精米後、1週間~10日以内に、テーブルマーク株式会社でパックご飯として加工されます。
精米からの時間が短いことで、おいしいパックご飯に仕上がります。
あわいひかり:上村さま、工場内を丁寧にご説明いただいてありがとうございます。
精米をしていて、何か気づかれた点などありますか?
上村さま:今年のお米は昨夏の高温障害により、例年と比較すると破砕米の量が1.5倍になっています。地球環境の変化は、こういうところにも影響が出ているのだと思います。
あわいひかり:そのようなところにも、温暖化の影響があるのは驚きです!これから、魚沼ライスさまとしては、どのようなことを意識されて地球温暖化やフードロスの問題に対処しようとお考えですか?
吉岡さま:精米工程で除去される糠や大砕米などは、ライスレジンや製菓の原料として、すでに再利用のサイクルが確立されています。しかし、まだ廃棄されている小砕米などもありますので、廃棄物0をめざして再利用できる方法を考えていきたいと思っています。
パックご飯の原料となるお米。それを商品としてだけではなく、パッケージとしても無駄なく再利用しているテーブルマークさまと魚沼ライスさまの取り組みは、とてもおもしろく興味深いものでした。
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取材・文
森本 未沙(海育ちのエバンジェリスト)