Report レポート
去る10月15日、東京都千代田区にある出版クラブホールにて行われた2025GP(グリーンプリンティング)環境大賞等表彰式。今年は、2006年にGP認定制度が開始され、ちょうど20年目に当たります。グリーンプリンティングによる環境保全への貢献が評価されるGP環境大賞をはじめ、GPマークの普及に貢献した企業を表彰するGPマーク普及大賞など、各賞で21社が表彰されました。その模様を取材するとともに、どのような企業が、どのような取り組みを行なっているのかを調査してみました。
立場は違えど、地球環境を守るという想いは1つ。
表彰式当日、まずは2016年からGPマークPR大使に就任されている小山薫堂さまによる基調講演が行われました。大阪・関西万博でシグネチャーパビリオン「EARTH MART」をプロデュースした同氏。
「大阪・関西万博は大屋根リングという1周2kmの円で人と人とのつながりを表現し、その真ん中に世界中から人が集いました。この会場にはグリーンプリンティングという大きな円で、クライアントさま、印刷会社の皆さま、基材・資材を提供するメーカーさまが、立場は違うけれど「地球環境を守る」という思いを1つに集まっている。印刷物はいろんな人の心をつないだり感動を与えたりする媒体だからこそ、皆さんの日頃の仕事は世の中の感動を作り、ひいては未来の社会を作ってゆくという仕事だと思います。」とお話しをされ、表彰式へと移りました。
環境印刷の最高峰「ゴールドプライズ」にあわしま堂。
「GP環境大賞」は、環境負荷低減に取り組む「GP認定工場」に印刷を発注し、GPマークを表示した製品を積極的に世に送り出した企業・団体を称えるものです。今年度、GP環境大賞を過去3回受賞した印刷発注者(クライアント)に対し、4回目の表彰時に贈られる本賞の最高栄誉である「ゴールドプライズ」に、愛媛県に本社を置く和菓子メーカーの株式会社あわしま堂さまが選出されました。同社の商品パッケージにおける長年の環境配慮への取り組みが、業界の模範として改めて高く評価されたことが受賞の理由です。
また、「GP環境大賞(一般印刷の部)」には、教科書会社として初の受賞となる株式会社教育芸術社さまと日本航空株式会社さまの2社が選出されました。教育現場や航空業界といった社会的影響力の大きい分野でグリーンプリンティングの普及が進んでいることは、環境印刷の裾野が広がっていることを象徴していると言えます。
GPマーク普及の立役者「ゴールドプライズ」に、
六三印刷と北四国グラビア印刷。
さらに、クライアントだけでなく、それを受注・製造した印刷会社を表彰する「GPマーク普及大賞」も発表され、こちらも4度目のGPマーク普及大賞の受賞となる「ゴールドプライズ」として東京都の六三印刷株式会社さまと、香川県の株式会社北四国グラビア印刷さまが選出されました。GPマークを印刷したパッケージなどの印刷物を数多く製造し、普及に貢献したことが受賞の理由です。その他にも、GPマーク普及大賞【オフセット印刷部門】に宝印刷株式会社さまと丸正印刷株式会社さま、【グラビア・シール・スクリーン印刷部門】に株式会社巧芸社さまが選ばれました。
GPマークが表示された印刷製品は、累計で約12億部を超えています。SDGs(持続可能な開発目標)の達成が企業に求められる中、印刷物における環境適合性の見える化は、一部の企業の取り組みではなく、標準的な要件となりつつあります。
「印刷と私」小山薫堂氏らが語る紙メディアの未来
表彰式の第2部では、「印刷と私」をテーマにしたスペシャルトークショーが開催され、放送作家でありGPマークPR大使も務める小山薫堂氏と、ノンフィクション作家の野地秩嘉氏が登壇されました。デジタル化が加速する現代において、あえて「紙」で表現することの価値や、環境に優しい印刷物が持つストーリー性について語り合い、小山氏は「手に取った瞬間の質感や、環境に配慮されているという背景そのものが、企業のブランドメッセージになる」と述べ、参加者は熱心に耳を傾けていました。
授賞式を取材して、あわいひかりが感じたこと。
日本航空の機内誌「SKYWARD」や、子供たちが毎日接する教科書に印刷されるようになったGPマーク。
環境に配慮して選定された資材や工場で作られた印刷物が、世の中に広がりつつあることが喜ばしく感じられました。表彰式では、グリーンプリンティングの輪に集い、未来にすばらしい環境を残してゆきたいという人々の想いと絆を感じました。
GP認定制度に共感してくださる皆さんとともに、GPマークの普及がさらに加速されてゆくと確信し、来年の授賞式が今から楽しみになりました。
2025GP認定制度3賞の受賞企業・団体(各賞とも五十音順)
【GP 環境大賞】
★2025GP 環境大賞ゴールドプライズ:株式会社あわしま堂
これまでに環境大賞を3回受賞。最大の賛辞と敬意を表すGP環境大賞「ゴールドプライズ」を受賞され、殿堂入りとなりました。
笑顔をつくるお菓子をつくるあわしま堂さま。どら焼きや栗饅頭などの親しみ深いお菓子のパッケージには、長年にわたりグリーンプリンティングが採用され、環境印刷への深い理解と普及にご尽力されています。
<一般印刷の部>
★2025GP 環境大賞:
●株式会社教育芸術社
教科書にはじめてGPマークがついた印刷物が採用されました。同社で発刊された全国の音楽の教科書にGPマークが印刷されています。
●日本航空株式会社
機内誌である「SKYWARD」に環境印刷を採用したことが評価され、環境大賞を受賞されました。
★2025GP 環境準大賞:
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、沖縄市役所、全国間税会総連合会、株式会社ホンダモビリティ中部
<パッケージ印刷の部>
★2025GP 環境大賞:竹下製菓株式会社
★2025GP 環境準大賞:チャコット株式会社
【GPマーク普及大賞】
★2025GPマーク普及大賞ゴールドプライズ :
株式会社北四国グラビア印刷、六三印刷株式会社
<オフセット印刷部門>
★2025GPマーク普及大賞:宝印刷株式会社、丸正印刷株式会社
★2025GPマーク普及準大賞:株式会社KASAMA、大日本印刷株式会社、株式会社文伸
<グラビア・シール・スクリーン印刷部門>
★2025GPマーク普及大賞:株式会社巧芸社
★2025GPマーク普及準大賞:賀谷セロファン株式会社
<製本・表面加工部門>
★2025GPマーク普及準大賞:株式会社シュウエイ、株式会社多田紙工
【GP資機材環境大賞】
<資材部門>
★2025GP 資機材環境大賞:日本シーマ株式会社
<機材部門>
★2025GP 資機材環境大賞:株式会社リコー
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取材・文
林 健二(リエゾン)