Series 連載

海辺などのプラスチックごみを回収してがんばって映え写真に昇華して成仏させた上で廃棄処分する、それが本企画「映えプラ」のコンセプト。最終的にこの企画が実行不可能になる(=プラごみの消滅)ことを目指してます。道のりは長い。しかしこれこそハチドリのひとしずく。志とクリエイティビティの融合をお楽しみください。

矢野 豊(名映えプレイヤー)

1984年1月17日生まれ。香川県出身、在住のデザイナー。おもしろいこと、イケてるデザイン、怖い話、カレー、ゴジラが好き。

【第2映え】雨ニモマケズ風ニモマケズ

立春も過ぎ、日中はポカポカ陽気な日もありますが、まだまだ通勤時のハンドルは冷たい日が続きます。ハンドルが温かくなる機能はまだですか?高級車にはあるんですかね?
そんなわけで2月も映えプラ、いってみましょう。今回は各おくりびと(おくりびと=映えプラ作品を撮る人のこと。第1映え参照)がソロ活動し、作品撮りをしました。諸般の事情によりひとところに集まるのがなかなかにハードルが高く…ご容赦ください。

さて、ではわたしおくりびとYanoはどこで映えプラしたかというと、観音寺が誇る「夕日映え砂浜」ナンバー2、一の宮公園です!え、じゃあナンバー1はどこかって?それはもちろん前回の有明浜です。これはもう幼き頃から親しんでいる上に歴史から見ても間違いないでしょう。異論は認めます。
いざソロ活動と言ってもやることは変わらず。ゴミ袋やブルーシートを詰め込んだ車を走らせること10数分、雨がぱらついてきました。その日は朝からどんよりした天気だったものの天気予報は曇り。まあそのうち止むだろうとそのまま現地へ。


映えねえ〜

雨は止むことなく、少しずつ浜を湿らせていました。一の宮公園をご存じの方は重々承知かと思いますが、晴天時はそれはそれは気持ちの良い景色が拝める浜なんです。それがこんな鈍色の姿をお届けすることになろうとは。とは言えここまで来て小雨ごときで中止するほど映えプラはやわではありません。幸い(?)ゴミは有明浜よりコンパクトな範囲に集中しており、収集に手こずることはなさそう。早速開始です。


ペットボトルは2万%の確率で落ちてる

その日たまたまなのかいつもの光景なのか、少年野球と思しき男子たちが砂浜練習に励んでいました。わたしがひとりゴゾゴゾとゴミ拾いをしている横を真剣な表情で駆け抜けて行きます。彼らの目にわたしはどんな風に映っているのか。怪しいおっさんだなと思われているのか、はたまた視界にすら入っていないのか。


頼むから変な目で見ないでおくれよ

雨止まないんですが。止むどころか激しくなってるんですが。あぁ〜もう寒いし帰りたい。そんな泣き言が頭をよぎりつつも「俺は俺の責務を全うする!」と心の中の煉獄さんが言うので責務を全うしました。集めること1袋分、まずまずの収穫でしょう。ではここから作品作りです。前回よりも少ないアイテム数、悪天候、そして孤独。名映えプレイヤーとしてはこれぐらいのハードルがあった方がやりがいがあります。


1袋は余裕で集まります

さあどうする。考えろ考えろ…

無情にも降り続ける雨。完全濡れ鼠になりながら手にした1つのゴミ。もうこれしかない。これで許してほしい。気がつけば野球少年たちもいないじゃないか。これ以上ここにいたら不審人物として通報されてしまう。もう本当にこれで。


タイトル「傘がない」
おくりびとネーム : Yano

なぜか持ち手だけあった傘。もはやこれを傘と呼んで良いものかどうか。いや今問題なのは差すべき部分の「傘」がないということ。もう風邪ひいちゃうよ。帰るよ。
というわけでおくりびとYanoからは以上です。

続きまして、おくりびとNittaから作品が届いております。


タイトル「もうかりまっか?ぼちぼちでんな」
おくりびとネーム : Nitta

なかなかユニークなタイトルですが、髙松は屋島「長崎の鼻」で撮影したとのこと。
作者からは
「タイトルはゴミを拾いながら『ペットボトルばっかりやん。こんな作ったらそら海にも浮くわ』って思ったとこからでした。はー、商売的には儲かってるんだろうけど、それだけではダメだよね。って思えてきたんでしょうね」
というコメントが。いや〜まだ2回しかやってませんが、ペットボトルの多さには辟易します。そりゃ嫌味なタイトルの1つも付けたくなるってもんですよ。まあ気軽に自販機で買ってしまう身としてはブーメランなんですが…。
それはそれとして、作品は情報量が多く見応えがあります。カラフルラベルに彩られたペットボトルをバランス良く配置し、そこにボトルキャップや漁具的なぐしゃぐしゃの何かでアート性を付加。よくよく見るとボトルの口に魚(の形の醤油入れ)が覗いてたりして茶目っ気がありますね。前回同様、おくりびとNittaの作品はバランス感覚の鬼で唸らされます。
ちなみに「作品撮りの道中、こんな景色が」というカットも送られてきました。


ゴミの不法投棄ですな。全く以てけしからん景色です。
「こういったゴミの投棄は子供の頃から、なぜダメなのか伝えていかないと治らないよなって思いました」
とはおくりびとNittaより。たまに車中からタバコをポイ捨てするシーンに出くわします。もういい年、という年でもないような人の所業だと本当に情けないというか恥ずかしいというか。話が逸れてしまいましたが、ゴミはルールとマナーを守って処分しましょう。

さて、そろそろよいお時間になったようで。
それでは映えプラ第2回、このあたりでお開きといたしましょう。
次回は好天の下の実施を祈って…。ではまた。

  • 取材・文

    矢野 豊(名映えプレイヤー)