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“規格外みかん”を救え! みかん産地の高校生がフードロスに挑む!

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収穫されず、木になったまま放置された無数のみかんや木から落ちて朽ちてゆくみかん。産地ではよく見かける風景です。採らなくなった理由はいろいろあると思いますが、フードロスの削減が叫ばれている昨今、すこしでも食べ物を粗末にせず、有効に活用するために観音寺市にある観音寺第一高等学校の生徒4名が立ち上がり、規格外のみかんの皮を使ったクッキー作りを通してフードロス対策が行われています。どのような経緯で、このような活動が行われるようになったのか?あわいひかりが追ってみました!

〜プロローグ〜

事の発端は11月24日(日)に観音寺市のハイスタッフホールで行われるイベント「第7回おいしいかんおんじ物産展」で、観音寺第一高校の生徒たちが規格外のみかんの皮を使ったクッキーを無料で配布するというニュース。その活動の詳細が気になったことがきっかけで、あわいひかり編集部としては、地元観音寺市の高校生が、環境にいいことをやっているのなら取材をせねば!ということで、早速、観音寺第一高校へ向ったのでした。

急な取材にもかかわらず対応してくださったのは、観音寺第一高校の石川良美先生をはじめ、2年生の西谷拓海さん、富山夏海さん、小滝輝人さん、山口凜さんの4名。
廃棄されるみかんの皮を使ったクッキーを作るに至った経緯や目的を聞いてみました。


左から富山夏海さん、山口凜さん、小滝輝人さん、西谷拓海さん


あわいひかり:どうして規格外のみかんの皮を使ってクッキーを作ろうと思ったのですか?

西谷さん:自分たちでテーマを決めて研究する「課題研究」という授業の一環として始まりました。もともとは観音寺市の特産であるレタスについて調べていて、廃棄されるレタスを使って何か作れないかと思っていたのですが、レタスはなかなか難しいというアドバイスをもらって、あまり知られてはいないけれど隠れた名産である観音寺のみかんを使うことになりました。



あわいひかり:はじめから廃棄されるものを使って、何か作ろうと思っていたのですか?

富山さん:はじめ4人で話し合ったのは「経済」や「子育て」をテーマにして何かやりたいねってことでした。経済ということから地元の特産品を使うこと。そして、子育てということからクッキーを作ろうという話になりました。

あわいひかり:規格外のみかんっていうのは、どういう理由からだったのですか?

西谷さん:地元のみかんについて調べていくと規格外で出荷できないものがたくさんあると知ったので、それを使ってクッキーを作った方が良いんじゃないかってことになりました。

あわいひかり:なるほど、経済と子育てと環境保全を一緒に考えることができましたね。ところで、レシピ開発は大変だったんじゃないですか?

西谷さん:そうですね。外部の方にアドバイスをいただいたりして、夏休み中に3回ほど試作品を作りました。なんとか納得できるクッキーが完成したんですが、それが商品として完成されたものかどうなのかは不安がありました。
そこで、道の駅とよはまさんで試食会を実施すると、「おいしい!」とか「みかんを感じる」など、みなさんの評判も良かったので商品として自信を持つことができました。

あわいひかり:うれしい反応が返ってきてよかったですね!そして、今は商品パッケージについて考えているという段階なのですね?

山口さん:そうなんです。地元の印刷会社さんにご協力いただいて、デザインを作っていただいています。こちらから要望をお伝えして、初めてデザインを見たときには「すごく良い!」と感じました。



富山さん:高校生が作った感じでなくて、本当に商品のパッケージみたいで感動しました!

石川先生:他の生徒たちも、どんなクッキーができたのか?どんなパッケージになるのか?って、とても関心があるみたいです。


パッケージに使われている校章や似顔絵のイラストはチームの要望で実現した。


あわいひかり:今後、クッキーはどのようにして製造していくのでしょうか?

西谷さん:クッキーを焼くのは今日から4回に分けて200枚ほど作ろうと思っています。
包装は衛生面もあるので、協力してくれている外部の方にお願いしようと思っています。

あわいひかり:11月24日のイベントで、お客さまにクッキーをお配りするそうですが、クッキーを通して、どのようなことを伝えたいですか?

山口さん:パッケージの裏にもあるのですが、地元の食品ロスを少しでも減らしていけるように意識していただければと思います。また、地域経済のために私たちが貢献できたらと思っていますので、地域のみなさんにも理解していただいて協力いただければと思っています。

あわいひかり:この活動を通して、なにか感じたことや自分の中で変化したことはありますか?

山口さん:もともとSDGsや地域の経済について興味はあったのですが、みかんの廃棄について調べると、生産したけど、形や味がダメで廃棄されるものがたくさんあるとわかってなんとかしたいと思うようになりました。



富山さん:JA香川県のサイトでは、年間約8000tのみかんが生産されていて、販売量がその半分。その差額は廃棄されているのではないかと思うので、今後は実際に農家さんにもヒアリングをして状況を聞いていきたいと考えています。

西谷さん:ニュースを見ていたら、よくフードロスの問題が取り上げられているので、家でもお母さんがおかずなどを作りすぎないようにしています。僕もごはんを残さないように心掛けています。



小滝さん:賞味期限を確認して、切れる前に食べるようにすることや、余ったものは冷凍して長く食べられる努力をするのも大切だと感じますね。

あわいひかり:最後に石川先生、読者の方々に一言お願いします。

石川先生:高校生が地元のため、経済のため、環境のため、未来のために一生懸命に頑張っていることを知っていただきたいですし、自分たちががんばることで、地域がもっともっと活性化することにもつながるので、そのこともこの活動と一緒にお伝えできればと思っています。



あわいひかり:観音寺第一高校のみなさん、今日はありがとうございました。
引き続き、あわいひかりではクッキーを配布する「第7回おいしいかんおんじ物産展」を取材してクッキーを受け取った方の声などを掲載していく予定ですのでご期待ください。

  • 取材・文

    森本 未沙(海育ちのエバンジェリスト)