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収穫されず、木になったまま放置された無数のみかんや木から落ちて朽ちてゆくみかん。産地ではよく見かける風景です。採らなくなった理由はいろいろあると思いますが、フードロスの削減が叫ばれている昨今、すこしでも食べ物を粗末にせず、有効に活用するために観音寺市にある観音寺第一高等学校の生徒4名が立ち上がり、規格外のみかんの皮を使ったクッキー作りを通してフードロス対策が行われています。どのような経緯で、このような活動が行われるようになったのか?あわいひかりが追ってみました!
地元高校生が規格外みかんを活用してクッキー作りに挑戦する姿を取材した前回記事からはや数ヶ月…。ようやく続報をお届けできる日が来ました。第一報から今日までに、実はいろいろな動きがありまして、以下に流れをまとめました。
◎2024年11月24日(日)に開催のイベント「第7回おいしいかんおんじ物産展」に向けて、クッキー作り、パッケージ作りに奮闘
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◎無事クッキー、パッケージともに用意ができ、いよいよイベント当日を迎える
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◎イベントでの配布実行。予想を遥かに超えるスピードで配り終える結果に!
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◎その後学生たちはこの取り組みを、後日開催予定(当時)の課題研究発表会に向けてまとめる
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◎2025年2月、その発表会が行われ、活動に一旦の区切りが付く
以上になります。
この流れを2回に分けてお届けするとして、今回は物産展でのクッキー配布までの様子をお伝えします。それではどうぞ!
みかんクッキー、物産展にてお披露目

朝から多くの人が集まってます
2024年11月24日(日)、朝。当日は筆者も会場であるハイスタッフホールに駆けつけ、クッキー配布の一部始終の取材準備を整えていました。プログラムには11時半から配布予定とあり、すでに学生たちはその準備を進めている様子。日曜の朝にもかかわらず、みな制服に身を包み、真剣な表情で打ち合わせをしています。
声をかけると「今日はよろしくお願いします!」と、いきいきとした声で返してくれました。人生初、何もかもわからないことだらけの中で進めたプロジェクト、胸中は不安がいっぱいのはずですが、それ以上にワクワク、高揚感が勝っているかのよう。とても頼もしく映りました。

やる気が伝わってきます!
そしてやってきた配布の時。
「観一生が作ったみかんクッキーを配布しまーす!」
イベント運営の方が声を張り、会場の人たちへのアナウンスが響きます。するとまたたく間長い行列が。事前に来場していた学校関係者や学生の友人知人、ご家族もいたでしょう。しかしそれを除いたとしても十分すぎる人たちが集まってきました。
結果、クッキーは開始から10分と経たず配布を完了。この日までの準備やあれこれを考えるとあっけなさを感じるほどでしたが、この結果は大成功と言っていいと思います。
筆者は撮影をしていたため行列に並ぶことができず、クッキーをもらうことは諦めていましたが、学生さんが「これどうぞ」と1枚渡してくれました。この優しさは嬉しかったですね。取材冥利に尽きます。

活動の規模としては、いち地方で行われたささやかなものと見ることもできます。それでも学生のみなさんにとってはおそらく一生の記憶になることでしょうし、この活動が思わぬ展開につながるきっかけを秘めているとも思います。
ちなみにパッケージの裏面にはこんな文章が。

みかん×観音寺第一高校 = みKAN-ICHIは、
みかんの皮を活用したクッキーです。
地元の「もったいない」を1つでも減らしたい!
という想いのもと、大野原町のみかん農家さんから
みかんの皮をゆずり受け、
グループ4人で試行錯誤し、クッキーにしました。
このクッキーをきっかけに
地元の食品ロスについて
考えていただけたなら幸いです。
彼らの挑戦は、単なる学校のプロジェクトにとどまらず、香川県全体、ひいては日本全体が抱えるフードロス問題とも深く関わっています。香川県は温暖な気候を活かした農産物の生産が盛んですが、その一方で市場に出せない規格外品の果物や野菜が多く発生しているのが現状です。とくにみかんのような果物は、少し傷がついたり形が悪かったりするだけで廃棄されることも少なくありません。
農林水産省の調査によると、日本のフードロスの約半分は家庭以外の事業系から発生しており、その中には農産物の未利用部分も含まれています。香川県においても、こうした規格外品の有効活用は大きな課題となっています。その中で、高校生たちがみかんの可能性を見出し、クッキーという形で新たな価値を生み出したことは、大きな意義を持つと言えるでしょう。
今回の取り組みは、フードロスを減らしつつ、地域の農産物を活用する一つのモデルケースとしても注目されます。彼らの挑戦が未来へと続く第一歩となることを願います。
さて、では次回、課題発表の様子と取り組みを終えてのインタビューをお送りします。
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取材・文
矢野 豊(名映えプレイヤー)