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『間』と書いて『あわい』と読むことをご存知でしょうか。
現代ではあまり使われない大和言葉のようですが、次のような意味があるそうです。
『間』『あわい』とは、物と物のあいだ、距離、関係性。
『間』『あわい』とは、時間と時間のあいだ、時間的隔たり。
『間』『あわい』とは、人と人の間柄、相互の関係。
そこには単なる何かと何かの間という空間ではなく、意味のある空間が存在しているような気がしませんか?
このあわいひかりでは、人と自然と、今と過去と、誰かと誰かの間(あわい)について考えていこうと思います。
大西 貴志(エコロジカルパスファインダー)
「鳥の目、虫の目、魚の目」で未来への道を探します
香川県の名物といえば、言わずと知れた讃岐うどんです。
今では、香川県を飛び出して日本中で讃岐うどんを味わうことができます。
さらに最近では、海外でも讃岐うどん店がオープンし賑わいを見せているとのニュースを聞くことも。
今や世界中で愛されていると言っても過言ではない讃岐うどんですが、その誕生にはジオが関係しているのをご存知でしょうか。
讃岐うどんの基本的な材料といえば、小麦、塩、お出しをとるイリコ、そして醤油でしょうか。これらからジオとの関係を考えてみたいと思います。
まずは小麦から。
約300万年前からの中央構造線の活動により讃岐山脈が誕生しました。
四国山地と讃岐山脈の2つの山々が太平洋側からの湿った空気を遮ることで、香川県は降水量の少ない気候になりました。
加えて、讃岐山脈が隆起したことで讃岐平野には水持の悪い扇状地が数多く誕生し、降水量が少ない香川平野では、水不足に備えて稲の裏作として小麦栽培が盛んになりました。
今でも田植えの準備が始まる季節には、香川県内の各地で黄金色に輝く麦畑を見ることができます。
次に塩。
1400万年前の火山活動で今の香川県の大部分が花崗岩に覆われました。
比較的軟らかい花崗岩は、長い年月のうちに風化し、細かく砕かれながら川を流れ海に流れ着きます。
花崗岩は最後は細かな砂となり河口や沿岸に堆積し、長い年月をかけて遠浅の砂浜を形成します。
この遠浅の砂浜を利用して香川県内には、各地に入浜式塩田が誕生しました。
ここで作られた塩は、うどんの麺に使用されるだけはなく、醤油の原料としても使われます。
そして出汁をとるイリコ。
これは、前回の”第 3 章ジオと瀬戸内の海の幸”でお伝えしたとおりです。
ジオが作り出した灘は、イリコの原料となるカタクチイワシの成育にとても適した海だったのです。
これらのジオが生み出した条件が重なり合って誕生したのが讃岐うどんなのです。
ぜひ讃岐うどんを食べるときには、その誕生の背景にあるジオのことを考えてみると、讃岐うどんをもっと美味しく味わえるかもしれませんね。
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撮影
大西 貴志(エコロジカルパスファインダー)