Interview 対談・インタビュー
2019年からコーヒーの抽出カスに注目し、令和5年度の環境省「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」に選出され、コーヒーの抽出時に出る廃棄物(コーヒーグラウンズ)を燃料としてコーヒー豆の焙煎を行っている「アライドコーヒーロースターズ株式会社」の事業について営業部 マーケティング課 課長 千田さまにお話をお伺いしました。
コーヒーのカスから、コーヒー豆を焙煎する。
あわいひかり:お忙しい中、お時間をいただいてありがとうございます。本日はよろしくお願いいたします。
千田さま:こちらこそ、私たちの取り組みをご紹介いただいてありがとうございます。
あわいひかり:早速なのですが、御社の取り組みについて簡単にご説明いただけると助かるのですが。
千田さま:はい。では、簡単にご説明します。私たちの取り組みにというのは、コーヒーを抽出したカスでコーヒー豆を焙煎するというものです。コーヒーはほとんどの場合、化石燃料を使って焙煎します。私たちが注目したのは、一つに化石燃料を使っていたという点、もう一つは、飲んだら飲んだだけゴミが出てしまうという点。これを改善したいと思ったんです。
あわいひかり:具体的にどれぐらいのカスがコーヒーから出るのですか?
千田さま:だいたいコーヒーを一杯入れるのに10gほどの豆を使うのですが、抽出後のコーヒーカス(グラウンズ)は、だいたい水を吸って重量が3倍ぐらいになるので30gぐらいになるんです。そのまま廃棄しようとすると、入れる前の3倍もの量を廃棄しなければいけなくなります。
あわいひかり:そのコーヒーカス(グラウンズ)はどのようにして買い取っているのですか?
千田さま:缶やペットボトルのコーヒーなど、コーヒーを大量に作っているメーカーさまから出るグラウンズを買い取らせていただいています。実際にはコーヒーを抽出した際に発生したグラウンズを乾燥してもらって、乾燥したものを必要な量だけ買い取っているのが現状ですね。理想としては、乾燥したグラウンズの半分を買い取って、半分をメーカーさまにストックしておいていただきたいと考えています。
あわいひかり:半分しか買い取らない理由はあるのですか?
千田さま:例えば、弊社からコーヒー豆を10t販売すると、抽出後に29tのグラウンズがメーカーさまで発生します。それを乾燥することで約11tの乾燥グラウンズができるのですが、半分を乾燥用に置いておいてもらって、半分を有価で回収するという仕組みです。
あわいひかり:なるほど。乾燥させるのに、化石燃料を使っていてはもったいないですもんね。買い取る際のコーヒーグラウンズは、お客さまのところで乾燥してもらうってるんですよね?
千田さま:そうです。乾燥させた方が搬送の手間も費用も軽くなりますから。乾燥させる機器もお客さまに導入していただいているのですが、弊社はご提案するだけで導入のやり取りは直接やっていただいています。
アライドコーヒーロースターズさまが取り組むコーヒーの循環型システム。
企業のコストとGHGの削減の両方をめざす。
あわいひかり:そもそも、どうしてコーヒーグラウンズに目をつけたのですか?
千田さま:それは、コーヒーを抽出しているメーカーさんからグラウンズの廃棄が困っているとの声があったからですね。従来は、燃やすか肥料や堆肥に変えるか、変えられないものは燃焼されるというのが一般的でした。
あわいひかり:グラウンズを廃棄するだけでも相当なコストがかかりそうですね。
千田さま:処理費用というのは工場が大きいほどかかってきます。1キロあたり数十円ぐらいかかるので、年間で3,000トンとか5,000トンとかのグラウンズが出たら、それだけでも膨大な廃棄費用がかかってしまうので、それがなくなるのはかなりメリットではないでしょうか。
あわいひかり:企業としても廃棄物の処理費の問題はどの業種でも大きくなっていますから、コスト削減は助かりますね。また、昨今は二酸化炭素やメタン、一酸化二窒素などといったGHGの削減も企業として取り組まねければならない課題となっています。
それに関しては、どのようなお考えを持っていらっしゃいますか?
千田さま:コーヒーのGHG削減の主な要因は、どうしても生産国になってしまうので、生産国の何が原因かというのも一応調べたのですが、そのほとんどが肥料です。肥料を作る過程で、非常に多くのGHGが排出されているんですよ。
あわいひかり:そうなんですか!そこまではなかなか手が出せないですね。
千田さま:最近、私たちはJUNCAというブランドを立ち上げました。それに使っているコーヒー豆はコロンビアやブラジルのものなのですが、GHG排出の主な原因である肥料製造にも目を向けて、グリーンエネルギーで作った肥料で栽培しているコーヒー農園の豆を使用することでGHG削減にも取り組みはじめたところです。
あわいひかり:GHG削減を意図した新しいブランドの立ち上げって、素晴らしい取り組みだと思います。
千田さま:GHG削減だけにとどまらず、うちの社内にはローストマスターもいるので、いろんな部門で入賞したことのある焙煎士の方と一緒にコーヒーの設計をして味作りにもこだわっているんですよ。
グリーン焙煎の認知を増やし、
コーヒーを取り巻く環境をクリーンに。
あわいひかり:話が前後しますが、コーヒーグラウンズを再利用するために導入した技術や機器などはあるのでしょうか?
千田さま:はい。もちろんありますよ。焙煎機の燃料となるペレットを作る成型機をはじめ、そのペレットで稼働する焙煎機もオリジナルです。2019年にはコーヒー豆を1度に30キロ焙煎できる機器を導入したのですが、昨年の11月に120キロまで焙煎できる機器を設置しましたので、今は試験稼働中です。
あわいひかり:30キロから120キロ。1度に焙煎できる豆が4倍になるんですね。
千田さま:そうです。しかし、それでも回収したグラウンズを使い切ることができないので、グラウンズのペレットが使えるストーブなどの暖房機器の開発にも尽力しています。また、一般家庭用として自宅で出たグラウンズを乾燥させてペレットにする成型機の販売も検討しているところです。
あわいひかり:一般のご家庭でもコーヒーが地球環境にやさしいの飲み物になることを普及することもアライドコーヒーさまの役割ですね。
千田さま:その通りです。弊社では自社認証のグリーン焙煎のマークを製作して普及活動に尽力しています。これまで、グリーン焙煎なんていう商品は存在しなかったので独自で認証マークを作って、環境にやさしいコーヒー豆を使っていることを弊社が納入するグリーン焙煎した豆を使っているメーカさまやお店がお客さまに他社・他店との差別化としてご利用いただければと思っています。
あわいひかり:環境にやさしい以外にも、グリーン焙煎とガスでの焙煎とでは違いはあるのでしょうか?
千田さま:違いはあると思います。新しい焙煎機は、従来の焙煎機より蓄熱性の高い設計と広い熱風制御幅によって雑味を抑え、素材本来の個性を引き出すことができるんです。なめらかな質感で、飲み心地の良い仕上がりが特長ですので、ぜひ、飲み比べてみてください。比べると差がわかると思いますよ。
あわいひかり:はい!ぜひ、飲み比べてみたいと思います。本日はお忙しい中、取材にご協力いただいてありがとうございました。
グリーン焙煎および「JUNCA」に関するお問い合わせは:
アライドコーヒーロースターズ株式会社
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取材・文
森本 未沙(海育ちのエバンジェリスト)