Series 連載

海辺などのプラスチックごみを回収してがんばって映え写真に昇華して成仏させた上で廃棄処分する、それが本企画「映えプラ」のコンセプト。最終的にこの企画が実行不可能になる(=プラごみの消滅)ことを目指してます。道のりは長い。しかしこれこそハチドリのひとしずく。志とクリエイティビティの融合をお楽しみください。

矢野 豊(名映えプレイヤー)

1984年1月17日生まれ。香川県出身、在住のデザイナー。おもしろいこと、イケてるデザイン、怖い話、カレー、ゴジラが好き。

【第9映え】ごみさんぽ

映えプレイヤーの朝は早い。

なぜか?

それは、映えに最も必要なもの、光、太陽光が関係する。良い映えを狙うなら早朝、夕刻というのが映えプレイヤーの常識、いや鉄則である。え、じゃあ今までその鉄則守ってた?という声は聞かないことにする。

さて、そんなわけで映えプラやっていくんですがちょっと趣向を変えて、今回はフィールドに向かう道中も含めてお送りしたいと思います。わたしのホーム浜である有明浜は自宅から歩いて行ける距離にあり、良い散歩コースだったりします。名勝である有明浜とはいえ、毎度変わりばえのない絵面ばかりお届けしていてはあわいひかりライターの名折れ。ここはいっちょ変化球を投げるタイミングでは!と判断した次第です。

ではうだうだ言っててもしょうがないので早速散歩スタートです!(散歩って言っちゃった)


春の陽気もどこへやら、今はすっかり初夏。田には水が張られ、小さな苗がすくすくと育っています。夜になるとゲロゲロとカエルの合唱がやかましいですが、それも季節の巡りを感じられるいとをかしサウンドです。


道中にはわたしの母校(高校)もあります。
この高校は以前の記事にも登場していますね。校内にはたくさんのクスノキが植わっていて、あとひと月もすればセミがワンワンと鳴いていることでしょう。在校当時、このクスノキのせいで教室の照度が足りないという問題を抱えていましたが、今は校舎も新しくなり、且つLED照明のおかげでそれも解消していることでしょう。

トコトコ…



観音寺のシンボルのひとつ、三架橋が見えてきました。
朝の光を浴びた白亜のアーチが眩しいですね。…と視線を川に移すと、


はぁ~これは残念な景色。しかし実際のところ、川の至る所でこういったごみの吹きだまり?が見られます。海浜だけでなくこういうところも掃除したいですが、個人でやるにはちょっと荷が重いので「きれいにしたいところリスト」にメモして歩を進めます。


いよいよ浜までもう少し。
いつもなら子どもの遊び声で賑やかな遊具も、早朝とあっては静かなものです。


さあ着きました有明浜。
なんか着いた頃にはやや曇り空で、これじゃあ映え狙えないじゃんというため息が漏れたとか漏れないとか。


しかし安定のごみ量はあるので、ここはしっかりと回収していきます。
前回と同じようにごみベルトが形成されているので、それに沿って回収回収。






さ、回収も終わったので帰りましょう。
前回の帰り道ではつぼみだった桜の木も、今はすっかり葉桜です。




え?
映えを狙って早朝に来たのに現地で作品撮りやらないのかって?
いやわたしもそうしたかったんですが、この日は日曜日、あいにく次の予定があったのでやむなく撤収です。作品撮りはまた後日。

ということはこれ、集めたごみを抱えて家路についてるんですよ。
日曜の早朝に自主的に海浜清掃して、そのごみを持ってテクテク帰る。
偉すぎないですか?
こりゃもう天国行きのチケットを手に入れたようなもんです。閻魔さまには悪いけどそっちにゃ行かないよ!







さてさて、それでは日を改めまして作品撮りです。

集めたときは「おっ、これは映えそう」と思ったごみもいざまじまじと見ると「どうしようこれ…」となるのが映えプラマジック。
とりあえず一部紹介しましょう。


壊れた灯油ポンプ。
これドクター中松が発明した説ありますが実際どうなんでしょう?


緑のボール。
これは絶対映えに貢献する!と確信をもって回収しましたが、いざとなると考えあぐねるものです。


なんかよくわからん仕切り?パーツ。
回収当時はもっとシャキッとしてたんですが、時間経過でフニャッとなりました。根性なしです。


出ました花火カス。
以前の映えプラにも登場しましたが、今年も不埒な輩が悪行三昧してるようですね。見つけ次第成敗です。こんなもんで季節を愛でたくないですが、夏の訪れを感じます。


黒い帽子。
海ごみとしては珍しい部類なので「イケる!」と思ったんですが、これまた悩ませてくれます。黒って色として強いので扱いが難しいところがあります。




こんなところでしょうか。
あとはいつメンのペットボトルやらなんやらを組み合わせてカチャカチャカチャ…





タイトル「梅酒作りたい欲収集中」
おくりびとネーム : Yano

梅がたわわに実るこの季節、そこかしこで梅酒を作りたがっている人が発生します。そんな欲求を集める謎の組織がいると仮定して生み出したのが本作です。
先ほどの黒い帽子を「人の思考」、緑のボールを「梅」に見立て…あとはわかりますね?
この季節にこのごみたちと出会ったからこそ生まれた作品。
これも縁ですかね。

そんなことを思いながら今回もお開きといたしましょう。
それではまた。

  • 取材・文

    矢野 豊(名映えプレイヤー)